今日のこの会は著作権保護期間が延長されてしまった残念会のような感じがあると思うんですけれども、今日は私の話に入る前に、thinkTPPIPの方々にお礼を言いたいんですよ。皆さんの活動のおかげで日本の二次創作文化が守られた、ということは確かにあると思うんです。コミケ、そして二次創作は創作のゆりかごであり、そして商業漫画につながる方舟でもあり、非常に大事だと思っています。私は、特に二次創作関係のクリエイターを代表して、thinkTPPIPの活動に参加された先生方に対して改めてお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。

今日は現実的な、前向きな案を用意してきました。その前にまずは、今私たちがやっている活動を参考に紹介します。マンガ図書館Zでやっている実業之日本社さんと組んだ実証実験の枠組みです。電子書籍版のYouTubeみたいなものなんですけれど、まずは一般ユーザーが自炊などを通じてスキャンした実業之日本社の書籍データをマンガ図書館Zにアップロードしてきます。実業之日本社は著者の連絡先を知っていますから、そのアップロードされた本の著者に連絡をとって、マンガ図書館Zで公開していいか、許諾を取ります。そして著者からOKがでたらその本をマンガ図書館Zで広告モデルで無料で公開しちゃうと。ただしこれは絶版書だけです。新刊はやりません。広告収益のうち、80%を作者に還元し、実業之日本社に10%、さらに投稿したユーザーにも10%を渡します。絶版書を出版社がコストをかけて電子化しなくとも、著者や出版社に収益が入るんですね。しかも何の権利もないアップロードしただけの一般ユーザーも10%をもらえてしまう。こういう実験を今行っています。

そして今回は、このモデルを拡張したものを考えてきました。国立国会図書館は1968年までに刊行された資料は著作者の許諾がなくてもスキャンすることができて、そのような電子データをデジタルコレクションとしてたくさん持っているんですよね。これをなんとか使えないかということなのですが、国立国会図書館は営利を目的としていません。しかし今のままだと税金を使ってスキャンしたデータは国立国会図書館、あるいは公共の図書館の中でしか閲覧させることができない。

そこで国立国会図書館のデジタルコレクションの権利処理を行う新しい著作権管理団体を作って、広告をつけた形で広く国民に見せちゃうのはどうでしょうか。広告収益のうち、80%は権利者に、そして20%は出版社に還元します。またその管理団体は拡大集中許諾もできるようにし、そして文化庁への裁定制度の申請をまとめてITで自動で行えるようにするのはどうでしょうか。

このような取り組みでは作家はもちろん、出版社の協力が不可欠です。作者や出版社に収益が回らないと進みません。このモデルでは出版社に権利者を探してもらって許諾をとってもらう。それによって絶版書から広告収益の20%を得ることができます。作者も電子化を諦めていた絶版書から収益を得ることができるのです。

図書館が新刊を何冊も入れて、出版社や作者と喧嘩してしまうことがありますが、このモデルを通じて、図書館と出版社、そして作者の間に新しい協力体制を築くことができます。そして国民が図書館の本を家庭で見ることができるようにもなります。

そしてこの新しい著作権管理団体は、国立国会図書館のデジタルコレクションのデータにOCR処理をして、文字列データとして蓄積できるようにするのはどうでしょうか。このデータを使った検索ができるようにするのはもちろん、ビッグデータ解析にも使えるはずです。国立国会図書館に所蔵されている資料全部をOCR処理して、文字列検索できるようにすると、きっとすごいことが起きますよ。

このモデルを使えば、出版社はもう自社では電子化できない絶版書を国立国会図書館のデータを用いて電子化できるし、作者も不労所得を得ることができます。前向きにこれを進めれば青空文庫に頼らずに済むし、出版社も作者も収益を得ることができる。こういうのをやったらどうかなぁというふうに思いました。ご清聴ありがとうございました。


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